QTaka

デッドエンドの思い出のQTakaのレビュー・感想・評価

デッドエンドの思い出(2018年製作の映画)
3.5
映画でお花見いかがでしょう。
小路の突き当たりの小さなカフェ。
そこで生まれる幸せな時間。
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カフェ兼ゲストハウス『エンドポイント』のマスター西山。
彼の生い立ちが物語の中で語られる。
それは、傍から見ると悲惨の極みで、周囲には同情以外の感情は存在しないのだった。
でも、西山本人にしてみると、そんなに悪い思い出でもなく、父親もただの変人であって、悪い人でもなかった。
外から見えることと、本人の中で起こっていることは別のことなのだと言う。
ユミの身に起こったことは、傍から見ると悲劇でしかない。
実際、ユミ本人も、打ちひしがれていた。
でもどうだろう、エンドポイントで過ごす時間は、彼女自身の姿を明らかにしていった。
そこに表れた彼女の姿は、決して悲惨でもかわいそうでもなかった。
むしろ、新しい自分を発見していたように見える。
そんな、自分探しの物語でも有った。
「心の中の宝物」を見つける物語だった。
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映画の中の人々は、昨日までの日常の距離感を見せている。
向かい合って、隣り合って、座り、語り、飲んで、笑う。
当たり前の姿が、”今は昔”。
花見も難しい昨今ですが。
良い映画を見て、我慢しましょう。
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この映画は、去年見るはずだった映画でした。
今は無き”札幌プラザ2・5”で行われた、『田中俊介映画祭2019in札幌』のプログラムに有った一本でした。
その時は、残念ながらスクリーンで見ることが叶いませんでしたので、年が明けて春になったこの季節に見ることにしました。
とは言っても、この騒動の中、お花見もままならない春になっちゃいましたね。
映画では、冒頭のカットと、ラストシーンで満開の桜を見られます。
ゆっくり、みんなで愛でる桜はいつ戻ってくるのでしょうか。
今年は、この映画で春を迎えましょう。
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