みーちゃん

なまずのみーちゃんのレビュー・感想・評価

なまず(2018年製作の映画)
3.9
ク・ギョファンが大好きなので観た。ふわっと抽象的で、ゆる〜いかと思いきや、切れ味が鋭い。

第一章のレントゲン写真が予想と全く違いドキッ。これで掴みはバッチリだけど、そんな興味本位の話ではなさそうで、この作品が作られた背景を調べたら、商業目的ではなく国家人権委員会の依頼だと知り、カルチャーの違いにびっくり&納得。

本作を少しでも面白いと感じるなら、ムン・ソリ演じる副医院長のエピソードをはじめ、作風は可愛い振りして、ドラマの要素が粒立ち、実はリアリティがあり、ある意味エグいからじゃないかな。

ク・ギョファンは一番の謎で、影の主人公で、且つ、どうでもいい存在でもある。イ・ジュヨン演じる彼女がマトモな人物なので、より際立つ。

ラストでも、とうとう彼の真意や人となりを見つけることができず、不穏で、心地良く、インタビューを読むと「彼女の感情に注目してほしいので、僕自身はソンウォンの心理を定義して演じていなかった」そう。演者と観客のセッションを感じて益々納得。これから更に難易度が高い役や、絶妙なニュアンスにチャレンジしてほしい。

そんなこんなの全てを飲み込むシンクホール。序盤から教訓めいた詩は提示されているが、正解は一つじゃない。骨組みがしっかりした映画だと思う。