YUKI

なまずのYUKIのレビュー・感想・評価

なまず(2018年製作の映画)
4.0
【日本の90年代後期〜00年代のオシャレ映画を韓国でやったらこうなる、最高にスタイリッシュな作品】

ストーリー:3.5
芸術性:4.8
演技・俳優:4.5
演出:4.8
感情の揺さぶり:3.3

まず感じるのは音楽の良さ。粒立ちの良い音像の曲を多用してて、それに合わせた、グランジ系バンドのPVのような色合い、ざらつきの絵作り。
そしてちょっと変わった人たちの描写に、ロイター板やら電話コードやら細かーいアイテムが使われていて、主人公と相俟って本当にキュート。
でもそういう作風一辺倒に終わらないのは、俳優の演技の良さか。主役のイ・ジュヨンもいいし、ムン・ソリは屋台骨だし、謎に入院患者としてクォン・ヘヒョとかトン・バンウとか出て来るの謎すぎる笑 あとク・ギョファンはDJ松永に似すぎです。ヨンウで見たような飄々とした感じの役だったな今回も。
ストーリーは、イ・ジュヨンが「人を疑わずに信じろ」とムン・ソリ演じる副院長に説くのだけど、最終的には彼氏を信じることができなくなって「穴」にハマっていくわけだが、穴にハマった時に重要なのは掘り進むのではなく抜け出すこと、というのがいかに難しいかを語るメタ構造なのかなという印象。そこらじゅうにできるシンクホールは至るところにそういう穴は出来うるという暗示か。そういえば、冒頭のレントゲン写真も含めて、この映画を貫くテーマは穴とそれを埋めるもの、なのかもしれない
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