カレス

足跡はかき消してのカレスのレビュー・感想・評価

足跡はかき消して(2018年製作の映画)
4.5
IMDb 7.1
ドラマ
字幕版
原題:Leave No Trace

広大な公園の深い森の中で、父-ウィルと娘-トムが人に見つからないようにひっそりと暮らしている。ある日、娘を見かけたランナーが警察に通報した。やがて警察犬を連れた警官が彼らを探し当て保護した。父と娘は福祉局に支援され社会復帰を試みる…

この美しい映画の真実に迫るには、カメラの捉える映像と少ないセリフを十分に吟味しなくてはならない。分かるのはウィルの苦悩とトムの心配と深い森だけなのだが、見終わった時の余韻は長く心に残る。

原題の "Leave No Trace" には「キャッチ&リリース」的な意味があるようだ。釣り人が長く釣りを楽しむためには「釣った魚を放してあげなければならない」。"Leave No Trace" は「自然にダメージを残さない」というアウトドアを楽しむための原則だ。(ハイキングする人が「とっていいのは写真だけ」と言ったりもするw)
どのようなカメラアングルなのかを考えながら、この映画をもう一度見たい。自然は敵ではないがフレンドリーでもない。圧倒的な自然が描かれているのではないか。しかし、この映画のテーマは「自然」ではなく「ウィルの苦悩」なんだと思う。それをトーマシン・マッケンジーの瞳が浮き彫りにする。


以下余談(ネタバレになるかも)
見る前に要らぬ知識を仕入れてしまった。
"My Abandonment" という2009年の本が原作だとwikiに書いてあった。さらにこの本のヒントになったニュースがある。
「2004年、警察はベトナム戦争の退役軍人と彼の12歳の娘がフォレスト パークの避難所に住んでいるのを発見した。その男性には仕事がなく、月額 400ドルの障害者小切手しか支払われていないとAP通信は報じた。彼らはそこに4年間滞在し、父親は古い百科事典で娘を教育していた。小児科医が少女を診察したところ、身体的または性的虐待の証拠は見つからなかった。巡査部長がその男を牧場での仕事に就かせた」

実話をもとにした著作がこの映画の原作ということだけど、どうでもいいことですね。有名な小説の映画化ではないので
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