かじドゥンドゥン

足跡はかき消してのかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

足跡はかき消して(2018年製作の映画)
3.0
戦場で深い心の傷を負った退役軍人の男は、社会への復帰を果たせず、年頃の娘トムと、とある自然公園で不法なキャンプ生活を送って来た。一度は警察に保護され、仮住まいと仕事を与えられて、トムの方はまっとうな社会生活に適応しかけるも、父に従い再び逃亡して、森の中での生活に舞い戻る。

森の中で怪我した父を、戦場での苦しみを知る元衛生兵の男がたまたま手当てしたのをきっかけに、父娘は、社会からあえて離れて暮らす気ままな連中のコミュニティでトレーラーを住まいとして生活し始める。それでもやはり、父は再び旅立つのだと言い出し、今度ばかりは娘も拒否して、父娘はそれぞれの人生を歩むことになった。

父の頑なさと、それに付き合わされてきた娘の難儀が目に付くが、むしろ主題は、同情さえももはや届かないような、父の深い傷と闇ではないか。