すず

アマンダと僕のすずのレビュー・感想・評価

アマンダと僕(2018年製作の映画)
3.5
「エルヴィスは建物を出た」

何気ない日常が突然…無差別テロの犠牲者や遺族のその後を描いた再生の物語。露骨な表現はないけど、人種や宗教の問題がそっと漂っている。

突如として人生の平衡感覚を失った人々の悲しみと苦悩が、普段と変わらぬ穏やかで賑やかな街の景色の中にそっと紡がれていく。

今日も世界は何食わぬ顔で回っているけど、彼らの生きる世界の時間は、不安定で不規則な流れの中を彷徨っている。その明暗のコントラストが現実とリンクする。

ダヴィッド(24)とアマンダ(7)、若く幼い2人。どこにでもある良好な叔父と姪の関係性はその日を境に必然的変化を迫られる。

物理的に縮まる距離、2人の感情の行き違いは、時に静かな衝突となり、そのどちらの感情も容易に推し量る事が出来るからこそ、切実な痛みとなって胸を打つ。

アマンダ役の女の子のリアルな佇まい、涙や笑顔にグッと引き込まれる。親身な気持ちにさせられ、とても愛らしい子供。

ダヴィッドとアマンダがフランスの美しい街中を2人並んで歩くシーンが頻繁に差し込まれるのだが、それがとても微笑ましくて、並んだ凸凹具合が愛らしくて、何よりもそれが示唆に富んでいた。
すず

すず