くわまんG

ブラ! ブラ! ブラ! 胸いっぱいの愛を/ブラ物語のくわまんGのレビュー・感想・評価

4.0
あらすじ:孤独に耐える善き人たちに幸せを。

“台詞無し”という共通言語を操るファイト・ヘルマーの良作。『ツバル』を観ていると、ラストはニンマリほっこりしますね♪同作品の主役二人に加え、『アンダーグラウンド』のミキ・マノイロヴィッチ、くたびれた色気がたまらないパス・ベガと、キャストもいいですね。

多幸感溢れる邦題やキュートな演出とは裏腹に、展開は終始ビター。輪を乱すや多数派の悪意に叩かれる現代社会は、無垢で無力な人達には生きにくいもの。同情してくれる隣人も手を差し伸べてくれはせず、暴力と孤独に苛まれる日々…。でも神様はちゃんと見ていてくれて、パンティの導きを与えるのです☆笑

退職後脱け殻のようだった鉄道運転手は、心の隙間を埋めるように落とし物の持ち主探しを始め、紆余曲折の末受け取ったのはかけがえの無い小さな家族。犬小屋からも自分を締め出した大人たちのために、笛を吹き続けてあまつさえ命まで救った身寄りの無い少年には、帰る場所をプレゼント。

空から見下ろせば美しいこの世界は、降りて寄ると荒みきっているけれど、もっと寄るとやっぱり美しいんですな。今日もパンタグラフが火花を散らせば、下着のように色とりどりな人間模様に通電するんでしょう。「貴女のブラを拾ったのは私ですゾ…ぬふふ。」なんて見返りを期待しない人にだけ訪れる、ささやかなハッピーエンドが心を温めます♪