安堵霊タラコフスキー

ヒズ・マスターズ・ヴォイスの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

3.6
パールフィ・ジョルジのこの作品とラヴ・ディアスの新作、どちらを見ようか悩んだ末にラヴ・ディアスの新作が立ち去った女同様劇場公開されることにワンチャン賭けてパールフィ・ジョルジの難解そうな作品を選んだけれど、ある意味ではこちらを選んで正解だったかもしれない。

というのも、この作品はさながら2001年宇宙の旅みたいなSFをデヴィッド・リンチが撮ったようなものとなっていて、完全に理解させまいとするかの如き描写の数々には(なんとなくはわかったとはいえ)結構疲労感を覚えてしまったが、はっきり言ってこういう難解でとっつきにくい映画は日本で劇場公開されにくいだろうし今後見る機会も限られてくるだろうから、そういう意味では見逃さず良かったと思う。

そして、これは疲労感を覚えた一因でもあるのだけど、演出に曼荼羅的なCGを用いたりとか映像的に面白いところがある反面人物の台詞がめちゃくちゃ多くて、言葉の情報に依存しているところも散見されたから言葉的な映画が苦手な身として正直きつかった。

でも奇抜なアイディアとCGを駆使して他であまり見られない表現を実現してのけた手腕と熱意は評価に値するし、そこは素直に称賛したい。