Inagaquilala

ヒズ・マスターズ・ヴォイスのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.4
東京国際映画祭コンペティション作品。ハンガリー、ブダペスト生まれのパールフィ・ジョルジ監督の異色作。ハンガリーで暮らす主人公は、アメリカの起きた事故のドキュメンタリーで、かつて共産主義政権下のハンガリーから亡命した父の姿を発見する。アメリカに渡り、科学者であった父を探すうちに、主人公はアメリカ軍の巨大な陰謀に巻き込まれて行く。このように書くと、サスペンスミステリーのような作品を想像するが、途中からトーンは一変して、どちらかというとSFのような展開になっていく。

パールフィ・ジョルジ監督は、かなりアート系に傾斜した鬼才で、ファンタジックな映像は、広大な宇宙をも感じさせる。たぶんに哲学的な考察も入り、当初のミステリータッチのシーク&ファインドのドラマは、人間の根幹を問う壮大な叙事詩へと発展していく。そのスケールがとにかくはっきりと掴めない監督で、近い将来、決定的な大傑作を生み出すような予感もする。とにかく期待の才能であることには間違いない。
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