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ザ・リバーのnagashingのレビュー・感想・評価

ザ・リバー(2018年製作の映画)
3.5
全貌をなかなか露わにせず、強権的な父さえも抗うことができない急流の「川」。その魔物感を説得力をもって表現しつつ、家父長制と消費社会の静かな権力闘争をシンボリックに描く。自然の魔性を利用して後者を駆逐しようとする前者の怖さと、自然を見下して超克していく後者の怖さ。固定された画面に不穏な風が荒々しい運動をもたらす。父権の危機のなかで長兄として覚醒していく少年のピカレスク感には痺れた。つーか演じている子の顔が激ヤバ。フレーム内の人物配置や順ぐりでインする流れも良いし、反復と差異で変化を際立たせるのもうまい。きわめて高水準の作品だが、カッチリしすぎていてものたりない気もする。練られた端正な構図と明確すぎる寓意のせいで、イメージの広がりが感じられない。
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