てっぺい

ジェミニマンのてっぺいのレビュー・感想・評価

ジェミニマン(2019年製作の映画)
4.0
【ウィル・スミスW主演映画】
キャッチコピー丸パクリながら、これに尽きる。ど迫力アクション含め、“今スミス”と“若スミス”が共存する不思議な映像の完成度はピカイチ。命の倫理に切り込むアプローチもある骨太映画。
◆概要
ウィル・スミスが今の自分と若い自分を演じるダブル主演。ほか出演は『10 クローバーフィールド・レーン』のメアリー・エリザベス・ウィンスレットら。監督は「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」のアン・リー。製作に「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのジェリー・ブラッカイマー。
◆ストーリー
ミッションを遂行中のスナイパーのヘンリーを襲撃したのは、政府によって秘密裏に作られた若い頃のヘンリーのクローンだった。ヘンリーはクローンを作る謎の秘密機関「ジェミニ」の陰謀に巻き込まれていく。
◆感想
“ウィル・スミスW主演”のキャッチフレーズに文句なし。映像に何の違和感もなし、完全に“今スミス”と“若スミス”が共存する不思議な映像が続く。クローンが生み出された背景や、その“命の尊厳”に切り込むメッセージに、エンドロール中ずっと考えさせられる。
◆ウィル・スミスW主演
まずこのキャッチフレーズに心鷲掴み笑。「若さを目の演技で表現した」というウィルが、正真正銘一人二役を演じ、最新技術で映像加工した本作。粗を探す少しうがった見方で臨むも、見事に懸念は払拭。今スミスが若スミスをライトで照らし続ける(つまり一人二役では基本映像化困難)シーンや、2人が取っ組み合うアクションしかり、さらにその中で顔をくっつけ並べていがみ合うシーンもあり、まるで見る者にこれでもかとW主演の完成度を見せつけているような映像美だった。
◆アクション
「ミッション・インポッシブル」シリーズを彷彿とさせるバイクアクション。人も車も行き交う狭い路地を全速力のバイクで、しかも銃で撃ち合う長回しはもう迫力満点。高地から飛び降りるシーンもウィルの顔まで捉えて本人証明していたし、まさにトム・クルーズばりに体を張ったウィルの本気アクションが楽しめた。

◆以下ネタバレ

◆クローン
クローンを生み出したヴァリスの、棺で帰国したり、PTSDになっていく戦争時の兵士達に言及するセリフ。兵士経験を持つ彼の重みのある言葉に、クローンを生み出す正当性をにわかに感じてしまう。「ターミネーター」を想起させる二体目のクローンの冷徹さと無敵っぷり。“自我のない”そのクローンが、戦争という闇が生み出す当然な産物にすら思えてくる。反して、「クローンは人間だ」と最終的に息子のように受け入れるヘンリー。スナイパーである事で、家族を持つ事が出来なかった彼が迎えたハッピーエンドだった。クローンという“命の倫理”への色んなアプローチをきちんと描いた芯のある映画だと思った。

とにかくW主演のハードルをきちんと超えて、見応えのある映画に仕上がっていた。もう今やお金さえ使えば、どんな映像も作れる時代なんだなと、さらなる映画の可能性の拡がりを見た気がしました!
◆トリビア
○クローンのヘンリーは、最新の3DCGで実現され、その制作費はウィル・スミス分の約2倍。(https://eiga.com/movie/91184/special/)
○ 90年代に映画化の話が出るも、技術が追いつかず、完成するまでに20年以上を要した。(https://www.gizmodo.jp/2019/10/geminiman-ang-lee-jerry-bruckheimer-interview.html)
○ドル箱映画プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーが、『ライフ・オブ・パイ』でアン・リー監督がトラをフルCGで作ったのを見て、『ジェミニマン』を作れると確信した。(https://www.gizmodo.jp/2019/10/geminiman-ang-lee-jerry-bruckheimer-interview.html)

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