シネマスナイパーF

ジェミニマンのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

ジェミニマン(2019年製作の映画)
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ある意味クローン技術が実現したとも言える
少なくともあの映像の中には、ウィルスミスのクローンが実在するようにしか見えなかった
そして同時に、一体俺の目に見えているものはなんなんだ?というヘンリーの気持ちにリンクすることもできる、と言えなくもない

限界まで「リアル」に挑戦した映像
4K3D120コマ、やれるだけのことはやったと言わんばかりのこだわりは、そこまでやって初めて納得のできる物語が成立するからだと作り手が考えていたからでしょう
物語内での都合のいい設定ではなく、実在する人間の過去の姿が実際に振舞っていた行動を再現することで、現在の自分が過去の自分と出会うと同時に過去の自分が現在の自分と出会うという物語はようやく成り立つんだと
そこで白羽の矢が立ったのがウィルスミス
30年前の活躍と現在の活躍が共に観客の頭にあるスーパースターを選ぶなら何も不自然ではない

現在の自分は過去の自分に自分と同じような人生を歩んで欲しくないと諭す
過去の自分は現在の自分を見て本当にこのまま同じように生きてていいのか悩む
無数の髑髏に囲まれた格闘シーンは、これまでお互い沢山の人を葬り去ってきたがこれをまだ増やす気かと諭す現在の自分と、それらに囲まれ疑問を抱き続ける過去の自分が共に苦しむ場面となっている
総じて、やりたいことはハッキリしている映画だったと思う


ただ、緩いわ…
まずオープニングからして変
あんなターゲットの近くで状況報告すんなよ普通にバレるだろ笑
お偉いさん学校であの内容の電話するのにボリュームでかすぎだし
そもそも暗殺指令されてるのにそいつの顔はわからないってどういうことなんや…
キャラクターとか細かいとこが完全にご都合主義でしかない
中盤のバイクチェイスシーンはマジで凄いので、ここは一見の価値あり

ただこの緩さ、正直嫌いじゃないというか、終わり方含めてほのぼのする話だったなと
悪役を殺る殺らないをその悪役の目の前で議論していると思ったら実はどっちが殺るかの話だったように見えてしまうあっけない殺り方は最早笑いました
地味に深いところに足突っ込んだテーマを扱いながら残念なことに緩いB級感に支配されちまったこのバランス、案外心地いい
立派なロケーションのくせに小ぢんまりした映画になっちまってるのが一昔前の地味なSF感あって好きだな


かわいい映画でした
ダニーかわいい