シネフィル母ちゃん

堕ちた希望のシネフィル母ちゃんのレビュー・感想・評価

堕ちた希望(2018年製作の映画)
4.8
常に天気の悪いナポリ郊外の町。
いつも雨か曇りばかりで地面も湿っている。
これが主人公の心の中を表してるみたいで苦しくなる。
ディストピアのような町で描かれるのは、過去にレイプをされ傷を負い、今は人身売買の組織として働く女の生き様。
自身も妊娠した女は、人生を変えるために危険な行動に出る。

この作品もめちゃめちゃ良かった。
哀しくてやるせないけどこれが現実。
その中でもがく主人公が痛々しくもあったけど、それ以上に力強くて美しかった。
また、映像のためか時々とても幻想的。

主人公だけではなく、移民の厳しい現状も描かれていて胸が苦しくなる。

観ていて辛かったけれど、ラストはささやかな希望が描かれていて安心したし、嬉しかった。
主人公の名前がマリアだったのもあのラストシーンで納得。
彼女は「聖母マリア」になっていた。
負の連鎖を断ち切った彼女は素晴らしい。
きっと色々な困難が彼女の前に今後も立ちはだかるだろう。
でも、もう大丈夫。