りっく

あの日々の話のりっくのレビュー・感想・評価

あの日々の話(2018年製作の映画)
4.2
三浦大輔の戯曲から着想を得た玉田企画の舞台原作。カラオケルームという密室で繰り広げられる、あるサークルの一夜の物語。同調圧力の中でマウントを取り合う先輩後輩。誰をお持ち帰りできるかという男女のチーム戦でもあり個人戦がある種スリリングに展開される。

180ページの台本を100分に収めたスピードと密度の高い会話劇であり、瞬時のパワーバランスと空気感の目まぐるしい変化と、彼らのドロドロとした欲望と裏切りといった生態を具に観察する華南客の特権的な面白さがある。

グループ単位で撮られたサイズの画が多く、個々のリアクションのアップの画がもっと効果的に撮れていればより面白い喜劇になっただろうが、山内ケンジの「テラスにて」を連想させる滑稽で皮肉めいた対象への距離感が絶妙だ。
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