主人公にそもそも善と悪の葛藤はなく、空虚な現実と生死入り乱れる非日常に人生に充実感を得る。
その結果、主人公は何を得たのだろうか。
平和な日常を暮らせるのか?彼らの罪は免れたのか?刹那的な快楽を慾る狂人のままではなかろうか。
人の命も人生も非常に空虚だ。動機が軽い。バイオレンスに対して無自覚で罪に向き合う事を早い段階から回避している。
そこに極めて病的な不吉さがある。
冷たい熱帯魚とブルーベルベットを合わせたようなストーリーだが、そこに現代人の利己的な軽薄さが露出している。
ヒーローでもアンチヒーローですらない。そこに至る迄の感情が彼らに備わっていないのだ。
そこまで考えると、映画の題名が腑に落ちる。