ひねくれはちゅう類

メランコリックのひねくれはちゅう類のレビュー・感想・評価

メランコリック(2018年製作の映画)
4.5
あらすじ


全然完璧じゃない脚本、完璧じゃない役者、完璧じゃない演出、それなのに何もかもが愛おしい。てか、考えたら僕の好きな映画は完璧じゃないやつばっかりだ。たぶんそういうことなんだろう。僕が奥田民生ならもっと上手く表現できるだろうけど、そうじゃないからきっとそういうことなんだろう。

見終わったあと、主人公にとって、今回の件で生きてて良かったって思える出来事って何だったんだろう?って考えると、思い当たるようで思い当たらない。いろいろ有りすぎるんだよな。
でも、監督はこの映画で何かを伝えたい!というよりも何かを感じて欲しい!という共感性に重点を置いたんじゃないかな?引き込まれるような感覚は、没入感有り風没入感無し映画(個人的感想です)「1917」よりもあった。没入感ってのは、撮影テクニックよりも共感性のウェイトが大きいのかもしれない。

じゃあなんで共感できたかっていうと、僕は別に東大卒でも彼女持ちでもニートでもない。コミュ障でもない(と信じたい)。
それはこの映画が非日常を日常に落とし込むのが上手かったから共感できたのではないかと思う。非日常の設定に、主人公の日常の感覚を落とし込んで、僕ら目線の話にしてくれたからだと思う。監督は主人公目線でめっちゃ考えたんだろうなぁ。この監督は追って行きたいと思った。

あと、人生でいくつか生きてて良かったことあるって言うけど、僕の場合、「卒論書くのに2週間くらい徹夜で何とか書ききったけど死にかけて生きてて良かった」とか、「部署の仕事が忙しくて20連勤くらいになったあげく上司が倒れて何もかもがヤバくて過労死しかけたけど何とかなって生きてて良かった」とか「ヘルニアで入院して痛すぎて3日間くらい寝れないし、夜中に「……お~い、お~い」って声が聞こえてきて超怖いし(あとから病院内徘徊老人の仕業と判明、やめてくれよ)、かなり精神的に参ったけど手術で治って生きてて良かった」とか「サウナが気持ちよくて生きてて良かった」とか、ろくなのねーぞ。監督、俺にも共感しろ。