GaPTooth

赤きダニューブのGaPToothのネタバレレビュー・内容・結末

赤きダニューブ(1949年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

原題:The Red Danube
Danubeとはドナウ川のことで、ドイツ南西部からヨーロッパの中・南部を通り、オーストリアやハンガリーなどを通って黒海に注ぐ全長2848kmの川。

第2次世界大戦後のローマ。
英国第84軍集団本部に陸軍省長官がニコバー大佐(1917年負傷し隻腕)への任務を伝えにやって来た。

ニコバー大佐の任務は、連合国が駐在するウィーンへ移動し、"破壊工作(英国政府の政策に反するプロパガンダ&連合国の政策に反する場合も含む)"の一掃に携わること。
オードリー・クウェイル下級司令官とトゥインゴ・マックフィミスター少佐も同行する。

ウィーンでキャットロック准将が待ち構えていた。
ウィーンは、英国、アメリカ、フランス、ロシアに分割されている。
ニコバー大佐の任務は「英国占領区に不法に滞在するロシア人を本国に送還する」こと。
ニコバーたちに用意された宿舎は文字通りの"修道院"。神を信じないニコバーが修道院で寝泊まりすることになる。

修道院のマザーであるオーキシリアの案内で各々は部屋へ。

修道院の近くの倉庫がウィーン・オペラカンパニーの練習場になっている。今日はバレエの練習日。
マックフィミスターが夢中になっている女性の名前はマリア・ビューレン。
マックフィミスターは毎日通うが、マリアには全くその気がない。

結局、マザーの紹介でようやく打ち解けることができた。マックフィミスターはもうこの世の春💕

ロシアの強制移住者の収容所から「破壊分子を匿っている」という苦情が出て、ロシア人のオルガ・アレクサンドロワを探しに収容所に行くニコバー。

マリアの正体は"ロシアのドイツ人"
家族はドイツ人でマリアはドイツ人の血をひくロシア人。マリアは偽名。
つまり不法に滞在するロシア人。
マックフィミスターの立場からすれば「本国へ送還」すべきなんだけど、本気で愛してしまったから切ないよね。

修道院にロシアのピニエフ大佐が兵と共にやって来る。オルガが見つかればどうなるかは容易に想像できるから、マザーはニコバー大佐に相談し委ねることしかできない。

だがニコバー大佐が表立って処理することは『連合国である英国がロシア人を匿った』と疑われかねない危険なこと。

ピニエフ大佐はマックフィミスター立ち合いで修道院を捜索する。祈りを捧げる修道女たちの顔を一人一人覗き込んでいく。
顔見たら分かるんかい?!と言いたい(笑)

ピニエフ大佐は去り際に「マリアは優れたバレエダンサーだからレーニンが帰国を楽しみにしている」と囁く。

ピニエフ大佐が引き返してくる。
修道女の人数が1人多かったことに気づいたからだった。
名乗り出たマリアに「君がボリショイ劇場のプリマドンナに戻れば、罪は不問に処すよ」と語りかけ同行を促す。

行ってしまったマリア。
マックフィミスターの気持ちや如何に。

ロシア人のブルーロフ教授を訪ね、ロシアへの送還要請の話をするニコバー大佐。
が!ブルーロフ教授はロシアへ帰国することよりも自ら命を断つことを選ぶ。

次は、ヘレナ・ネイガード(ブルーロフ教授の妻)のところへ。

次々と強制送還されていくロシア人たち。
罪人のように扱われ、決して幸せそうではない。マリアも強制送還されていく。マックフィミスターを残して。

ニコバー大佐は任務に忠実であっただけ。ロシアの要請に協力しなければ新たな戦争の火種となるかもしれない。
が、ウィーンで行われている強制送還という殺人に等しい悲劇に英国政府が加担しているという事実を英国陸軍省へ書き送ることに。

クリスマスの夜。
ニコバー大佐の息子からの最期の手紙には「神を信じることにした」とあったが、その直後に撃たれて戦死したという。
ニコバー大佐が神を信じないのも尤も。

英国占領区にあるアスパング駅。
奇跡のような巡り合わせにより、マリアに再会できたマックフィミスター。
ニコバー大佐の粋な計らい( ノ^ω^)ノ

英国陸軍省に送った手紙が功を奏し、ロシア人の強制送還問題に国連が動く。
ニコバー大佐もローマで開かれる会議に出席してウィーンの現状を話すことになる。

マザー・オーキシリアは教皇と話す。
ペンキ職人の例え話は分かりやすいね。

もうニコバー大佐 vs ピニエフ大佐の構図は笑いを誘うよね。茶番劇。
いつの時代も民主主義者と共産主義者とは相容れないってことで(笑)

ニコバーの、軍人ではなく"人間"としての決定は(この時点では)一時的な救いにしかならなかった。
ニコバーの任務を引き継いだオミクロン大佐によってマリアは捕縛されて絶望のあまり窓から身を投げてしまう。
マックフィミスターに看取られてご臨終。

その後、ニコバー大佐に新しい任務が与えられる。"人間化作戦"。処罰されると思っていたのに誉めそやされて照れちゃう(笑)
さらに国連の主導で強制送還は禁止されることになった。努力は報われた( ノ^ω^)ノ

全ては神のご意志のままに。
信じる者は救われる。アーメン。

面白かった(*’ω’ノノ゙☆パチパチ
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