エイデン

暗数殺人のエイデンのレビュー・感想・評価

暗数殺人(2018年製作の映画)
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韓国、釜山
麻薬捜査班に所属する刑事のヒョンミンは、情報屋からタレコミを受け、テオという男と面会する
テオは6年前、ある男に頼まれて山へ大きなビニール袋を運び、その中身がバラバラになった死体だろうと考えていると言う
金を払えば依頼人について話すというテオと交渉していると、突然 警察が乱入し恋人殺しの容疑でテオは逮捕されてしまう
これでは情報も怪しいと考えたヒョンミンは、テオに自分のことまで話していた情報屋に喝を入れ去っていくのだった
3ヶ月後、家族とゴルフをしていたヒョンミンの元にテオから連絡が入る
“チュレ拘置所”に入っているテオは、恋人のスジンだけでなく、7人を殺したと語り、担当刑事ではなくヒョンミンに話を聞いてほしいと面会を頼むのだった
テオは逮捕後、スジン殺害を認めたばかりか「あと3人殺した」と供述し、警察は死体を遺棄したという“ファンニョン山”、“デシン公園”、“クァンアン大橋”付近の海を捜索したものの無駄足に終わり、勾留期限が迫って来ていた
それを担当刑事から聞き、拘置所へと足を運んだヒョンミンはテオと面会する
テオはスジンを殺したものの、刑事が証拠品をねつ造したと主張しており、地図を渡すと、その証拠を探すようヒョンミンに依頼する
ヒョンミンは残りの6人について尋ねるも、テオは反省した様子も無く、それを話すなら見返りが欲しいと返すのだった
その後、ヒョンミンはスジンの証拠品があるという公園にやって来ると、テオの言っていた通りの場所で、スジンが着ていた服と身体を縛るためのテープを発見する
後日 テオの裁判が執り行われ、弁護側はヒョンミンが手に入れた証拠品を手に、警察がねつ造を行ったことを暴露
それによりテオは思惑通り求刑されていた20年から、5年の減刑を受けることになり、ヒョンミンは他の刑事から反感を買ってしまう
また後日 テオはヒョンミンに、スジンの件を含めた7件の殺人について、簡単な供述書を記載する
未だ世間の目に触れていない6件の“暗数殺人”について、テオは「残りは自力で解け」と語り、詳しくを語ろうとしない
刑事課に異動したヒョンミンは、他の刑事の協力も得られない中、たった1人でその事件を解決しようとするが、テオの供述の中に嘘が紛れ込んでいることがわかり翻弄されていく



韓国のクライム・サスペンス

実際にあった事件を元にしているとのことで、元の事件はSBSのドキュメンタリー番組で取り上げられたもので、タイトルとなっている暗数殺人の名前の通り、犠牲者はいるものの報告も死体も捜査もないために社会的にに知られていない殺人事件だったらしい
詳細は概ね映画と同じ流れで、更に詳しく見るといくつか他の事件もモチーフになっている様子
SBSの公式アプリだと過去配信分も観られるっぽいけど、ハングルに明るくないのでよくわからなかった
詳しい人は調べてみてほしい
まあどの程度 実際の事件を参考にしてるかというと、被害者遺族が許可を事前に得てないとかで訴え起こしてたりもするみたいなので、割と共通部分も多かったんじゃないかと想像できるかな

割と韓国産サスペンスというと、ゴリっとアクション交えたりとかもする偏見を持ってるんだけど、本作はストーリー展開と主演2人の演技力で引っ張ってくタイプ
徹底的に人を弄ぶサイコパス殺人鬼と、その話の節々から事件の真相を追う刑事
実話ベースとはいえ、きちんと脚色されてるのか、徹底的に殺人鬼の掌の上で踊らされながら、それを出し抜こうと奮闘していく物語は先も読めず、グイグイ引き込まれる

そのキャラクター2人が良くて、チュ・ジフン演じるサイコパス殺人鬼テオは全く可愛げなくて腹立つクソ野郎を情感たっぷり
キム・ユンソク演じる刑事ヒョンミンも当初はだらしない姿を見せていたけど、テオと敵対していくにつれて徐々に正義感を超えた執着を見せていく
互いが互いを出し抜こうとするキャラのぶつかり合いはかなり楽しい

そして目まぐるしく変わっていく展開から、きっちりと物語を折り畳むラストまでサスペンスフルに描いた良作
観ましょう
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