TAK44マグナム

妻の死の価値のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

妻の死の価値(2007年製作の映画)
4.2
死んで欲しかったけど死なないで!


ホラーの達人たちが一堂に会するテレビドラマ企画、マスターズ・オブ・ホラー第2期の一編。
本作の監督は「クライモリ」のロブ・シュミット。
「クライモリ」は個人的にそこまで刺さりませんでしたが、中編でテンポが出る為か、はたまたシナリオのなせる技か、本作はかなり面白かったです!
これは傑作じゃなかろうか。


浮気がバレて夫婦関係がこじれたクリフとアビー。
仲直りしようとクリフが誘ったドライブで事故が発生、クリフは助かりましたがアビーは全身火だるまになって危篤状態に。
愛してはいるけれど、彼女の尊厳死を望むクリフ。
エアバックが開かなかったことから自動車会社から多額の和解金が支払われる事が分かり、それもあって世間からの非難を受けるようになってしまいます。

裁判では尊厳死が認められ、いざ実行となると、クリフの周囲で奇妙なことが起き始めます。
火傷を負う以前の美しいアビーが妖しく迫ってきたかと思うと焼け爛れた姿に変身したり、邪な弁護士が焼死したり。
その全てが、アビーが心肺停止状態の時に起きていると知ったクリフは、アビーが自分に復讐しようとしているのだと理解します。
アビーが死ねば無敵のデロデロ復讐鬼になって殺しに来る!
クリフは急いで尊厳死を中止させ、アビーを生かすために移植用の皮膚を用意しようと画策するのでしたが・・・


いや〜、まずシナリオがよく出来ていますね。
様々な真実が明るみになるタイミングがバッチリで、ストーリーを進める推進力が強い。

そして何と言っても真っ黒こげになってしまったアビーが凄い。
ハンパないグロさ。
強烈な復讐心を放つ目力が凄まじい怨念を感じさせます。
可哀想ではあるのですが、描き方は完全にモンスターのソレ!
監督の演出力もエッジがたっていて、切れ味が良いです!
変にダラダラしないでスパッとしています。
皮膚をサクサクと切り取る場面も、マッドサイエンティストものによくある雰囲気が味わえてドキドキさせてくれましたよ。

本作は美女が徹底的に美を失う話なので、胸糞悪く感じる方もいるでしょう。
しかし醜悪な趣味ながらも、美しいものを破壊したい衝動はホラー映画に欠かせない要素のひとつではないでしょうか。
もしかしたらホラーを嗜む行為とは、こういったアンモラルで歪んだ欲求の代替え行為なのかもしれません。


アビー役のジュリア・アンダーソン、そして浮気相手トリッシュ役のロビン・シドニーが揃って巨乳美人。
最高に眼福でした(苦笑)
アビーが浴室に出現する場面なんて、いきなりドーン!と綺麗な巨乳が現れるものだからビックリ!
思わず、「す、すごい・・・」と声が出ちゃいましたよ。
大金目当てで誘惑してくるトリッシュも個人的にかなり好みのルックスだったので、そういった意味でも傑作でした(苦笑)
是非、誘惑してほしいですが、残念ながら財布に100円も入っていないんじゃ見向きもされませんな(汗)
今月はソフトとか買って散財しすぎました!
・・・反省。

まぁ、そんなことは関係ないんですけれど、実に恐ろしきは女の執念です。
お岩さんの最凶バージョン、もしくは巻来功士の漫画「メタルK」の冥神慶子か?
これ観たら浮気なんてしたくなくなるし、絶賛浮気中なら清算したくなりますよ!
ラストカットも絶望的で、あのトラウマ級映画の「ゴーン・ガール」を彷彿とさせ・・・いや、あれよりも数段怖い!

瞬殺か、それともずっと取り憑くのか・・・
どちらにしてもガクブルです!!
あ、でもバラバラ死体を雑に捨ててたんで、何がどうなってもクリフを待っているのは破滅なんでしょうね。

1時間の尺で、陰鬱な怖さをケレン味もある恐怖演出を用いてしっかりと描いている、完成度の高い作品だと思いました。


GEO宅配レンタルにて