常盤しのぶ

響け!情熱のムリダンガムの常盤しのぶのレビュー・感想・評価

響け!情熱のムリダンガム(2018年製作の映画)
4.0
ガンダムではない。ムリダンガムとは南インドに伝わる古楽器の一種で、叩く場所によって異なる音色を駆使して演奏する。主人公はそのムリダンガムを作る家の息子で映画オタク。推しの出る映画の公開初日に高さ数メートルの特大パネルを用意するほど。……インドってあんな感じなの? 本作はそんな映画オタクの主人公がムリダンガムの音色に魅入られて奏者になるお話。

……と簡単に書いたが、そこはインド映画らしくカースト制度描写マシマシで物語が進んでいく。師匠にさえ『作るだけで演奏できるわけがない。そもそもそれができる身分でもない』と言われる始末。そこからなんやかんやあり、奏者見習いとなり、修行を重ね、意地悪なライバルと演奏バトルを繰り広げるに至る。やめろ! ムリダンガムは人から金を巻き上げる道具じゃねぇ! 俺とムリダンガムで勝負だ!!

主人公のムリダンガムに対する姿勢が守破離に忠実に則っている。途中で主人公が師匠の元を離れ、世界を巡りながら修業をするシーンがある。そこで彼は様々な音に触れ、己の感性を磨いていく。私はあの修行シーンが大好き。『世界は師匠にあふれている』は師匠の言葉。この修行を乗り越え、主人公はライバルとのラストバトルで師匠をも越え、そして師匠の元を離れる。

修行シーンももちろん好きだが、その先にあるバトルできちんと修行の成果が見えるシーンも大好き。本作はそういったジャンプ漫画的スポ根要素が多分に散りばめられている。そういった要素が刺さる人には思いっきり刺さると思う。気になった人は機会を見つけて観よう。ミニシアターでたまに上映している。