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ハイ・ライフのmのレビュー・感想・評価

ハイ・ライフ(2018年製作の映画)
3.0
宇宙という未開・閉鎖的な地を舞台にタブーを描き出したのは未知×未知でよかったと思う。人間ってほんと露骨でいやらしく生々しい、そしてまた愛らしいと思える作品。

人には勧められない作品!笑
ロバート・パティンソンさんが主役、ジュリエット・ビノシュさんが脇役、そしてミア・ゴスさんが出演してるよ!ぐらいにしか人に話せない、エロとグロのオンパレード。嫌悪感を持つ人もいるだろう。また少々の近親相姦を感じさせるので見る人を選ぶ作品。
話も難解というか、入り組んでいて、しかも説明不足な点があり苦手な人もいるはず。というか、人間の汚い部分をアートに昇華しようとしてしきれなかった少々、失敗作な感じが否めない。

ただ私は嫌いになれない点が何箇所かあった。良く言えば好きな部類に入ってしまう作品。手放しに秀作とは言えないが。

近未来。太陽系を遥かに超えて宇宙へと突き進む宇宙船「7」には、元死刑囚がクルーとして乗り込んでいた。彼らは極刑の免除と引き換えに、同乗する女性科学者ディブス(ジュリエット・ビノシュさん)が指揮する実験に参加することになった。そんなストーリー。

まずSF物ですが、宇宙についてそんなに真剣に考えなくていいです。宇宙という空間はそんなに大事ではないというか、まずきちんとした描写がない。宇宙服も隙間だらけだったり、宇宙船の設定だったりが雑で監督にはもう少し宇宙についてきちんと描いて欲しかった。
ただ、設定として宇宙という場所を選んだのはよかったのではないかと思う。
犯罪者のモンテ(ロバート・パティンソンさん)たちは減刑と引き換えに宇宙に行く。この犯罪者たちというのがある種良いスパイスで、結局地球という規律ある枠組みから外れた人間たちだということ。地球でタブーを犯した人間たちが更にタブーを犯していくストーリー展開。宇宙という未開の地、閉鎖空間に放り出され生殖の実験のモルモットにされる。宇宙の映像としてのもう少し力を入れて欲しい部分はありつつ、設定としては好き。宇宙ではなく地球でやったらただの乱痴気騒ぎになってしまう気がする。閉鎖空間だからこそ活きてくる設定だと感じた。

今作の主題は【タブー】だろう。
またそれを軸に【人の根源】を描き出している。私はアダムとイヴを彷彿とさせられた。
冒頭モンテは自らの娘に「排泄物を食べたらダメだよ。タブーなんだ」と言葉をかける。それまでにどれだけのタブーを犯し、これからどれだけのタブーに直面するのか、考えるととても面白いセリフだ。

ロバート・パティンソンさん、色っぽくかっこよくなってきましたね。
ミア・ゴスさんは生々しい作品の常連。今作もキレッキレでした。

秀作ではないのは確かで、賛否両論あると思うけど、好きな人は好きじゃないかな…。
子供の頃にセックスって気持ち悪いなって感じたのを思い出した。

ストーリー : ★★☆☆☆
映像 : ★★★★☆
設定 : ★★★★☆
キャスト: ★★★☆☆
メッセージ性 : ☆☆☆☆☆
感情移入・共感 : ☆☆☆☆☆

cc/究極の密室、目覚める欲望
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