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ハイ・ライフのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ハイ・ライフ(2018年製作の映画)
3.0
[コスモスとミクロコスモス、或いはドゥニ版『サンシャイン2057』] 60点

私の心は開始6秒時点の宇宙空間でスパナが鉛直下向きに加速度を付けて落下した瞬間に離反したので、結局よく分かってないんだけど、分かった感じにさせるのは異常に上手く、"あーそーいうことね完全に理解した"というスタンプをさっきクレール・ドゥニに送ったところである。既読はまだ付いていない(適当)。

さて、肝心の内容であるが、完全に私の偏愛する『サンシャイン2057』と一緒じゃないか。同作は太陽が熱いから傘に爆弾入れて特攻してんのに、全員が爆弾=傘を外した後で地球に帰るつもりでいるという狂った設定の映画である。そして本作品も、そもそも"なんか凄いエネルギーとってこようぜ"とかいう凄いざっくりした動機で、犯罪者の盛り合わせを宇宙空間に送るという基本設定が狂ってる。しかも、途中で寄り道して別の船に遭遇するのとか、やたら繁殖した植物ルームとか、ビジュアルまでそっくり似せているシーンもある。が、その上に重なってるよう分からんセックス系統のお話は意味不明。もう意味不明から一周回って意味が分かるかもしれない(錯乱)。多分、コスモスとミクロコスモスを重ねて、宇宙と人間の神秘を重ね合わせたんだよ。多分ね。

相変わらず目のやり場に困る服装でウロウロしているビノシュは、前作より過激になっており、途中のセックスマシーンのとことかドゥニが撮ってみたかったとしか思えない。しかもミア・ゴスとかいう今世紀で二番目くらいに宇宙服が似合うエロかわ女優(一番はエリザベス・デビッキ。多分似合うでしょ)を連れてきており、よく分からないながらも変に心地いい空間が出来上がっている。宇宙服が掛けてある部屋は完全に舞台袖の楽屋みたいな雑然とした空間なんだけどね。

色々な設定がざっくりしすぎていて(野菜ばっか食ってたらガリッガリになるでしょ)、セットすらざっくりしていて、全体的にざっくりした映画なんだけど、不思議と心地いい映画だったし、そもそもクレール・ドゥニの新作を劇場で(日本語字幕付きで)鑑賞できたことに幸福感がある。次回作はパディントン主演で1984年のニカラグアが舞台らしいので、頑張って完成させてください。と伝えときます(適当)。

追記
東欧映画好きとして初手でアガタ・ブゼク当てたのは褒めてほしい。出てるのは知らなかったけど、嬉しかった。シャベルで頭かち割られてたけど。
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