Asino

さよなら、退屈なレオニーのAsinoのレビュー・感想・評価

さよなら、退屈なレオニー(2018年製作の映画)
3.7
ケベックの海辺の小さな街に暮らすレオニーの、愛着のあるもの(この場合父とその職場)を奪われた感と、未成年だから母親とその新しい恋人(彼女にとっては父の敵)と別れて自由に暮らしたくてもできないもどかしさ。
退屈というよりは自分の中の怒りをぶつける先がない苛立ちのように感じたけど、このタイトルは最後のシーンにきれいに効いてくる。
「もっとみんなを好きになれたら面倒がないのに」ってうちの娘がいいそうな(まあ17歳らしい)台詞だ。と聞きました(笑)

キーになるのは彼女が習い始めるギターの教師なのだけど、彼女を子供扱いして説教するでもなく、気まぐれに付き合い、黙ってそばにいて居場所を与えてくれる存在として描かれていた。
彼がなぜ実家の地下室でギターレッスンで生計を立ててるのか、なんの説明もないのだけど、彼は彼で生きずらさを抱えている存在なのかもしれないと思わされる雰囲気ではあり。
レオニーが彼に「男らしくない」というシーンがあるのだけど、まさに有害な男性性とは無縁な存在で。少々都合よすぎる?と思った辺りでお葬式のシーンがあり、あそこがしみじみよかった。

憧れてた大人だって完璧な存在じゃない、と気づくのが大人になるってことなんだなぁという話でもあるんだが、文化はわりとアメリカっぽい(なんせ彼女がバイトするのは野球場だし)のに言語がフランス語という独特の雰囲気がよい感じでした。
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