てる

伊豆の踊子のてるのレビュー・感想・評価

伊豆の踊子(1963年製作の映画)
3.4
面白かった。短い作品だし、見易い。
あまり、多くは語らないものの、旅芸人たちの生活や、うら若い青年と少女の恋模様など、現代の人が見ても楽しめる作品なのではないだろうか。
吉永小百合若いですなぁ。ピッチピチでしたねぇ。無垢な少女って感じでしたねぇ。この人にもこんなフレッシュで活力溢れる時代があったんだねぇ。可憐でした。
高橋英樹も若い。こんなにイケメンだったんですね。活力溢れる好青年って感じでした。やっぱり、現代のイケメンとは違いますな。現代の若者は細長くて、優男風がモテるが、彼は筋骨逞しく、がっしりした体型で意思が強そうな顔立ちをしている。頼りがいがありそう。
川端康成が原作のこの作品。とても分かりやすく作られているんだろうなぁと感じる。この原作はまだ読んだことはないが、川端康成の独特な言い回しを想像しながら観ると面白い。こんなに分かりやすく物語を描いているはずがない。急に場所が飛んだり、景色の描写が長かったり、女の子が突飛な行動起こしたり。でも、川端康成の作品だと理解しながら観ると、随所に川端康成の伊吹を感じるから不思議だ。日本人の心にある原風景だったり、日本人が持っている気質だったりを感じる。
彼の作品の面白い点を挙げろと言われると言葉に詰まる。独特な言い回し、特殊な展開、妙な構造、読むのは難解だ。川端康成の作品が好きだと公言している人とは合わない。このよくわからない作品郡を面白いというのは通ぶってるように感じるからだ。
しかし、魅力がある。不思議な魅力があるのだ。この作品もそうなのだ。明解で分かりやすい作品かと言われると、そうであるようなないような。どのシーンが面白いかと言われると、ぱっと出ないのだけど、でも記憶に残る作品。原作を読んでないので、あまり大きなことは言えないが、原作に負けない不思議な魅力がある作品だと思った。
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