マーくんパパ

伊豆の踊子のマーくんパパのレビュー・感想・評価

伊豆の踊子(1963年製作の映画)
3.7
映画化は都合6件あるらしい、踊り子&学生さんコンビを古い順から挙げると田中絹代・大日向伝(1933)、美空ひばり・石濱朗(1954)、鰐淵晴子・津川雅彦(1960 )、吉永小百合・高橋英樹(1963)、内藤洋子・黒沢年男(1967)、山口百恵・三浦友和(1974)となる。百恵友和版は昔観た記憶あるけど『潮騒』ほどの記憶が残ってない。川端康成が学生時代の旅で遭遇した踊り子一座をヒントに学生と踊り子の淡い想いを織り込んだ名編小説。学生の視点からに焦点絞っているから一座の貧しく過酷な旅やお座敷での客商売の悲哀等は直接的には余り描かれていない。学生が遭遇した珍しい踊り子一座とのひとときの旅道中、幼くあどけない純情な踊り子と過ごした青春の短い時間を老年となった教授が甘く感傷的に振り返るが踊り子はどうだっただろうと想像する。突然帰京する事になった学生さんの船を追いかける踊り子、恵まれた学士さんに優しく接してもらったドサ周り踊り子にとって人生で2度と訪れることのない夢のような時間に違いないと思えるから手を振り見送る姿に愛惜の情が溢れ出す。演じる女優の年令も田中絹代以外はみんな10代で初々しいことが絶対条件の映画です。それにしても昔の学士さんは今の大学生とは雲泥の違いの持て囃され様だったんだね。