風来坊

パリ、憎しみという名の罠の風来坊のレビュー・感想・評価

パリ、憎しみという名の罠(2017年製作の映画)
2.5
経営する会社の不振で経済的に追い詰められた主人公は温室効果ガスの排出量取引に目を付け、法の抜け穴を付突き荒稼ぎを始めるが…。フランスの人気俳優ブノワ·マジメル主演のクライムサスペンス。

ダークノワール的でハードボイルドな雰囲気は本来は自分が好きなタイプの筈なのですが本作は全く胸に響く物が無かった…。
主人公を始めとして主要登場人物の性根が腐りきっています。もとはと言えば主人公の最初の危機も身から出た錆びですし、簡単に仲間を裏切るしで悪としても魅力に欠けます。

妻はお金が無い時は冷たく、悪事のお金でも潤えば笑顔というお金が全てという世知辛さ。義理の祖父は真似事娘のために主人公を蹴落とそうと躍起なクソジジイ。仲間も自己中ばかり、金を借りたチンピラは事業の乗っ取りを企む。最後のしてやったりのおばさんはいずれ自分も寝首をかかれるだろう…。という下衆な人達が集まっていて誰にも肩入れ出来ない。

劇中に「スカーフェイス」を使用したネタが出て来ますが、モンタナほどの悪の華を感じないのが致命的。誰も幸せにならないというような憂鬱さと空しさ溢れる雰囲気は良い味を出していると思います。温室効果ガスの排出量を利用した犯罪が行われていた事は勉強になりました。

それにしてもブノワ·マジメルは若い頃の貴公子みたいなイケメンからだいぶ老けた感じで驚きました。ダークな雰囲気は良い映画なので合えばかなり楽しめる映画かなと思います。
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