ベルサイユ製麺

パリ、憎しみという名の罠のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

パリ、憎しみという名の罠(2017年製作の映画)
3.1
都市の名前+意味ありげな短文のタイトルシリーズ②

…掟破りも甚だしいとは思うのですが、ラストシーンの後、暗転した画面に出ていた字幕をそのまま書き出します。

“京都議定書締結後 二酸化炭素の排出削減のため規制枠を売買する排出取引が開始された
2008〜2009年に売上税を脱税する事件が発生。EU全体での被害額は50億ユーロ、フランスでは15〜18億ユーロに上る”

…という、これが前提。ヨーロッパコープ作品ぽい邦題がつけられてますが全然関係なくて、原題は『carbone』、炭素の事だと思います。渋!だって炭…、渋!!

…はぁ。レビュー難しいなぁ。
大胆にすっ飛ばしていきます!

父から継いだ事業をコカし、ブルジョワの義父にも妻にも辛くあたられるロカ。金策に走り回っていた過程で、自分の会社の“二酸化炭素の排出枠”を売却できる事を知ります。
で、閃いたのが最初に引用した排出取引の詐欺ですよ。超大雑把に言えば、ペーパーカンパニーをばんばん作って、その会社の排出枠を必要とする企業に売りまくる訳です。(法の抜け道とか、細かい説明は理解できませんでしたよ。)
いつもつるんでいる悪友の兄弟とその母親とで結託して詐欺グループを始めるのですが、先立つ物、種銭が必要だってんで、超ヤバイ悪党キャメルから投資を受けることになるのだが…、と。

物語前半は、先ずロカの転落人生。…からのカムバック!狙いがドンピシャにハマり、事業もどんどん拡大、ぼろ儲けで身なりも良くなり、ポルシェ乗り回すし、シャンパンをブチまけちゃうしのガッハッハでございます。この辺りの描写はちょっとだけ『ウルフ・オブ・ウォールストリート』っぽいです。但し知ってる役者は全く出ませんが…。
で後半。悪党キャメルの脅しと、ロカの息子の親権を奪いたい義父による妨害工作で、どんどん追い込まれていくロカ…と、急速にサスペンスフルな方向に話は進んでいきます!
前半と後半がまるで違う構成。ピカレスクロマンからバイオレンスに。ただ、バイオレンスとは言ってもそれこそヨーロッパコープ物みたいなバカっぽいヤツでは無くて、『悪の法則』みたいな、淡々と展開する暴力の連鎖みたいな感じです。特に終盤のバタバタ感は凄い!主要な出来事がほぼ全て最終チャプターで起こります!大昔やってたドミノ倒しの特番みたい。

…と、大枠だけ抽出してみると『ウルフ・オブ・〜』も『悪の法則』もみんな大好きだし、吾輩のスーパー美文も相まって(←6文字で死にたくなった…)、意外と悪くなさそうな気がしてきますでしょ?
…うーん😑

吾輩思うにこの作品、大きな問題が二つ有ります。
①前半の規制枠の売買の話と、後半の修羅場が直接関係無い!…前半は悪党に恨まれるきっかけ作りに過ぎなくて、だから別に何でもいいんですよ。ジャニーズのチケット詐欺でも、絶対取れないUFOキャッチャーでも問題無し!

②…コレを書いて“ネタバレだ!”って言われると困るのですが…
😵ファーストシーンで主人公が射殺されます!!言い訳不可能、完全射殺です!…で、字幕で“五カ月前”って出て、本題に入るのですね。
…いや。仮にジェームズ・ボンドやイーサン・ハントが冒頭で射殺されたら「そんな訳無い!」ってなりますけど、今作の場合は全く知らないおっさんですよ⁈そりゃ死ぬでしょ!後はもう確認作業だけで、全然求心力が高まらない…。

となり、結果①+②=レビューが書きにくい
…のです。物凄く大きな血管、いや欠陥がある訳でも無いし、褒めてもいいかな?とか思うとフと思い出される、例えば『暗黒街』のパーフェクトさ。むむ、敢えてコレを観る/観てもらう理由も無いかな…。
あ、結構文字数埋まったね。これで良いかな?





…ムクリと起き上がり、口から銃弾を吐き出すロカ!
「鉛の弾じゃ、オレは殺せんよ」そう呟くと、傷口から無数のカーボンの繊維が渦巻き、ロカの前身をみるみる覆っていく。
「オレの名はザ・カーボン!京都議定書を遵守する為に…

いや、なんでもないです。つまらなくは無い作品でーす。終わります。✌️☺︎✌️