ひれんじゃく

プロメアのひれんじゃくのレビュー・感想・評価

プロメア(2019年製作の映画)
3.9
いやーーーアクションも音楽も見せ方も何もかも最高。咆哮する堺雅人がマジで良かった。バチクソ興奮して一瞬で見終わってしまった。映画館で観てたらヤバかったなあこれ…

ただ何もかも素晴らしいだけにバーニッシュというマイノリティ差別の扱い方が悲しい。そこまできちんとしてたら文句なしの100満点映画だったのに………正直友人の批判を聞いた上で私も観て批判してみよ!という逆張り思考で見たからこういう視点でしか見られてないってのはあるにはある気もするけど。以下ネタバレ。




















バーニッシュの人々は燃えたくて燃えてるわけではなくてどうしても生理現象としての爆発が必要ってところと、主人公の思想が乖離しててン?とまず思った。そりゃ火事は消さなきゃ大変だけど、そもそも論としてなぜバーニッシュによる火事が起きるのかを30年もあって考えたことはなかったのだろうかとちょっと思ってしまう。でもどうなんだろ、一回差別思考を持ってしまうと誰が何を言っても陰謀論者的に頑なに何の意見も受け付けなくなってしまうと考えるとわからなくもない。世間全体がそういう眼差しを持つとなると余計に。

まあガロは途中でリオと触れる機会があったのがまだ幸いっちゃそうだけど、バーニッシュの青年が焼いたピザを気持ち悪いって言って捨てた市民に果たしてバーニッシュたちの声は届いたのだろうか。店主が捕まった時も「バーニッシュはまだしもなんで」みたいなガロの言い方が引っ掛かった。ゴリゴリに差別しとるやんけ。

さらに堺雅人が「バーニッシュ」のラスボスだったこともあんま褒められないポイントな気がする。その設定必要だったんかな。普通の人間だと思わせるくらい見事な擬態をしてるバーニッシュっていう設定をつけてしまったことで、どうしようもなくて火事を起こしてしまう他のバーニッシュが下げられてるというか、結局ガロの「我慢すればいいだろ!」論に繋がりかねないというか。我慢できないから苦しんでるんだよなあ………

ラストも炎の力は消滅してこれで誰も発火しなくなって万々歳!となったけどそれでいいのか感は否めない。誰もバーニッシュの苦しみに目を向けてないというか。火を消せば大団円だし火元がなくなればハッピー!っていうのが安直に見えた。バーニッシュ以外の人たちの見方が変わったという描写がなかったので、不当な差別をし続けてきたにも関わらずそれを自覚しない市民が大量に助かったように見えてしまう。ピンクトライアングルも調べて知ったけど安直に使うべきものではないしね………

ただまあ滅殺開墾ビーム最高だったし火を灯す者vs火を消す者の戦いも相反する思想が世界を救うのも二人でひとつのロボを操縦するのも何もかも良かったし圧倒的堺雅人に呑まれて麻痺してまともに思考できない感は否めない。好きなのか嫌いなのかも判断が下せない。観ててめちゃくちゃ楽しくはあった。観て良かった。けども………
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