ゆりな

Never Goin' Back ネバー・ゴーイン・バックのゆりなのレビュー・感想・評価

3.7
「人生を楽しめ。まずはシャワーを浴びろ」

A24作品。貧困や無知は負のサイクルを生みやすいが、そういったネガティブな貧困層や若者の話ではない。
終始ドラッグや下品な会話が続くが、コメディ映画のように死ぬほど笑えるようにポップでもなく、湿っぽくもなく爽やか。

下品だとか自業自得って感想も多いが、高校生で親もいなくて中退してウェイトレスやってる2人すごくない?やってらんないよね。売春したり日常的な強みに手を染めてなくて、男にも頼るわけでもない彼女たちは立派だと思う。

女の子2人の物語だと途中で喧嘩したり、男絡みで何かあったりするが、そうゆうのは一切なくシスターフッドが続くのもリアルでいい。
2人が底抜けに明るく、クソッ!を連発しつつも、自分の置かれた環境に対して文句は言わず楽しんでるところがいい。

今を目一杯生きてて、先のことはどうにかなるっしょ精神の2人だけど、「GALS!」の寿蘭ちゃんだって警察官の家族としっかり者の友達がたまたまいたから、警察官を目指しただろうし、全然環境とラッキー次第の話。

「中身がない」と評する人が多いけれど、貧しいってだけで選択肢は減るし、余裕もない。「じゃあ勉強すればいいじゃない」ってのは、米津の「止まない雨はないより先にその傘をくれよ」と同じ理論で、選べる側の意見な訳で。そんななか「親友の誕生日のために海へバカンスへ行く」って設定だけで泣けちゃうよ。

こんだけハッピーで親もいない2人ならいっそリゾートで住み込みバイトとかでもやって行けそうだけどね。
ゆりな

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