映画好きの柴犬

第三夫人と髪飾りの映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

第三夫人と髪飾り(2018年製作の映画)
3.8
水、蚕、花、卵、命

 19世紀のベトナム、養蚕を営む富豪に第三夫人として嫁いだ14歳の少女メイ。やがて妊娠、出産するが...

 「大奥」のような女性同士の愛憎劇かと思っていたら、全く違いました。女性の存在価値が跡取り息子を産むことに集約されていた時代に、精一杯生きる女性たちを美しい映像とともに叙情的にしっとりと描き出す。そして起きる事件と女性たちの静かな反抗によって、女性が搾取される社会の問題を炙り出す。

 主人公メイを演じたグエン・フオン・チャー・ミーは、当時13歳。直接的ではないがセクシャルなシーンを演じさせたことで、ベトナムでは上映禁止になったとか。そういう批判が起こるのは容易に想像できたけど、本作のテーマは全く真逆のもの。そういったシーンはテーマとして必要だと感じたし、グエンの幼さが問題提起にも繋がっていると感じた。