【自然描写と近代の意識】
ヴェトナム映画、アッシュ・メイフェア監督作品。
19世紀ヴェトナム。
16歳の少女は、裕福な地主に第三夫人として嫁ぐ。
すでに夫人はふたりいたわけだが、男の子は第一夫人にひとりいるだけで、第二夫人には女の子しか生まれず、できればもう一人男の子を、という意向からだった。
ヒロインはふたりの先輩夫人の教えを受けて家の仕事にも慣れ、やがて妊娠する。
19世紀ヴェトナムの農村部とその暮らしや自然の様子が淡々と描き出されている。
とはいえ、監督は21世紀に生きる女性なので、どうしても近代的な意識が作品に現れてくる。
そこをどう受け取るべきか。
こういう映画ではなるべく近現代的な価値観は封印して、禁欲的に作ったほうがむしろ効果的だと思う。
とはいえ、いたずらに近代的な視点から19世紀の社会を断罪した映画ではない。特に自然の映像はとても美しい。