KnightsofOdessa

運び屋のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
1.5
[イーストウッドだけで辛うじて支えている量産型"家族愛はいいよ"映画] 30点

まるでNetflixみたいな直訳邦題を聞くとイーストウッドの最新作とは考えにくいが、実際にはイーストウッド一本で辛うじて支えている量産型"家族愛はいいよ"映画だった。そもそも私が全くイーストウッドに思い入れがないのもいけないのかもしれないが、今回の予告編を何度見ても"じいさんやんけ"以外の感情が湧かなかったし、観賞後も"あのイーストウッドの最新作!"というパッケージを越えられたとは思えない。

緊張感はあるんだけど突飛ではないし、悪くないけど良くもない、脳天ぶち抜くショットもない。勿論イーストウッドだから出来る特異性はあったけど、それに頼りすぎていて目新しさはない。残念ながらそのイーストウッドですら声が干からびていて字幕なしでは聞き取りにくい。その老人が歌ってるシーンで呑気さとか自由さとかを表してるわけだから(しかも結構な長さ使って)、なんとも言えない感情になる。あんまりにもヨタヨタ歩くので、逆に心配になってしまう(半分くらいは狙ってんのかもしれんが)。

そもそも根本的に家族を90になるまで蔑ろにしてきた老人が一回寄り添ったくらいでこんななるかってのは大いに疑問。この無理矢理な家族愛とハッピーエンドはヘイズコードでも意識したのだろうか。勿論"時間はプライスレスでした"という発言はイーストウッドにしか言えないセリフなんだけども。内容としては自分勝手なおっさんと願望を叶えるものとして家族は添え物になっている。

追記
バイカー集団が女性だった、黒人をニガーと呼ぶ、など"時代遅れ感"を描くエピソードもやっすい。
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