義民伝兵衛と蝉時雨

運び屋の義民伝兵衛と蝉時雨のレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
3.3
90歳を目の前にしたイーストウッドからのメッセージ

長い間、家族との時間を疎かにしてきた老人が、家族と過ごす時間の大切さに気づき、変わっていくという話。実際に起きた事件をベースに、90歳を目の前したイーストウッド自身の感じている事が詰まっている作品だと思った。

見どころは、イーストウッド演じる主人公アールの、常に気取らず飾らない、オープンマインドな姿勢。他のキャラクター達との血の通った会話が印象的だった。出てくるほとんどのキャラクターに人間らしさがあり、見え隠れする温かさがなんとも魅力的だった。

そして何と言っても最大の見どころは、90歳を目の前にしたイーストウッドの若者に対するメッセージだろう。
「金は労働で買えるが、時間は金でさえ買えない」、「家族との時間を犠牲にしてまで、労働の奴隷になるな」、「老いを受け入れず、若い頃と変わらずに人生を楽しみ続けろ」などなど。
ブラッドリー・クーパーが演じる若手刑事が、最後大手柄を挙げたのに、浮かばない表情をしていたのも印象的だった。
イーストウッドの若者に対する熱いメッセージが詰まっている作品だと思った。