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運び屋のmitzのレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
3.5
家族から見放され、晩年にして人生を見失った90歳の老人がコカインの運び屋として成り上がる物語です。
長年における家族との確執、徐々に築かれる麻薬カルテルとの信頼関係、そしてその組織内の内紛と情報量が多い中で、断片的な場面の構成で時間経過と共に変化する事象がしっかりと描かれているのはクリント・イーストウッド監督の手腕に他なりません。
ストーリーはとてもシンプルなため「ミリオンダラー・ベイビー」や「グラン・トリノ」など主演する過去の作品と比較すると見劣りはしますが、晩年を迎えた老人が悪行に手を染めてまで、再び人生を成立させようとする生き様を演じられる俳優はそれほど多くありません。
(ここからは想像の域ですが)御大はこのなぜ作品を作りたかったのか?と考えた時に「自分に出来ること」から逆算してこの作品を選んだように思います。残りの人生で何を遺していくのか、という壮大なテーマを主人公アールを通じて自己投影しているようかのような作品です。
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