これといったことが言えないのは、私がまだそこに至っていないからか。
イーストウッドの実人生と、基になったニュースと、映画としてのフィクションと。そしてそれを(家族で)演じるという事実とが、片意地はらずにゆったりと絡み合っている。
それはそれでとても心地がいい。
何が本当で何が嘘か、その台詞は演者か役か、誰の言葉なのか。
私たちは確かめる術もなく、その時間を共有するしかない。
どんな後悔も愚行も、愛も許しも、時間に押し進められていく。
物語としてみたら、御都合主義だし爺さんはやけにかっこいいしで、鼻につかないわけではないけれど、老年のイーストウッドだから、それもそれでいい感じになっているように思う。
これといって思考も促されないのだけれども、心地よい、穏やかな人生讃歌。