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ナディアの誓い - On Her ShouldersのTAMUのレビュー・感想・評価

4.2
日本は明日から元号が変わるのだが、やれ新しい元号は何だと思うか街の声を拾ってみたり、改元に合わせて商売に取り込もうとする人をリポートしてみたりと、他にニュースとして伝えることはないんだろうか。

という事で、大阪は都か市か争う呆れた選挙運動をくぐり抜け、本作を観に行って参りました〜♪

昨年のノーベル賞はトランプだったり、金正恩だったりしないで良かったと胸を撫で下ろして終わってた反省を含めて臨んだ本作。

ナディア・ムラドさん。イラクでも少数派のヤズディ教の女性。彼女の村はISに襲われ、彼女は両親、兄弟と引き裂かれた後、性奴隷として数ヶ月過ごした過去を持つ。

本作は、ドイツに逃れた彼女が彼女が、自分たちの村の解放と、戦争の道具となった女性の解放を訴えて、世界を動かしていくまでを追ったドキュメンタリー。

美容師を夢見て、平凡な生活を送っていた彼女。人権活動家と言われることに違和感がある。一方で、自分が語ることで、同じような境遇にある女性や、最早壊滅の恐れがあるヤズディ教徒を助けることができるかもしれない。

まさに、副題の通り命運は『On Her Shoulders』。世界に知ってもらうことが、彼女にとっての戦いとなる。

カナダ、ドイツ、ギリシャなど多くの国をめぐり、議会やテレビやラジオで、好奇のマスコミの目に晒されながら、自分の言葉を選んでいく彼女。

政治家のような強い言葉や煽るような言葉はなく、誠実に発せられていく言葉、瞳の奥の悲しさが印象的。

そして、多くの難民キャンプを訪ずれ、同じ境遇にある人たちを支えようとする姿には胸が締め付けられる。本当はお母さんに抱きしめてもらいたいでしょうに。。

特に彼女と共に活動する仲間の言葉が心に残る。
『彼女の言葉には世界を動かす力がある。
僕は彼女ほど強い女性を知らない。
ただ彼女がいつまでもつか心配だ。』

私の良く知る幸福度ランキング100位以下の某二カ国はいつまで経ってもあっちが悪いと言い続けている。未だに性奴隷の問題は起きているのだからこそ、両国が協力して排除に取り組む姿勢を世界に発信したりできないものだろうか。
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