こめ

アートのお値段のこめのレビュー・感想・評価

アートのお値段(2018年製作の映画)
3.8
今の美術界のいびつな現状がよく分かる作品だった。

投資としてコレクターの間で売買される事で価格は高騰してゆく現代美術作品。
しかし、アーティスト達に十分な利益がもたらされることはなく、その価値は人気のバロメーターとしてのみ反映されていく。
ただ、コレクターがいなければ自分たちの活動もままならない。

コレクターに買われた作品たちは幽閉され一部の目にしか触れることはない。
一方、民主的に公開可能な美術館では展示できる作品数は限られており、大多数は倉庫の中で日の目を見ない。

アーティストとコレクターとオークショニア、それぞれ対照的なコメントが面白かった。


ジェフ・クーンズの工房が工業的でショックを受けたが、
彼はこの歪な現状を利用して富と名声を築いており、強かに美術界を牽引している。

対照的に映されていた昔気質で世間から忘らるる存在のプーンズの個展や、
著名なコレクターから美術館への寄贈シーンなど、
今後の美術会に希望の持てるラストになっていた。
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