かすとり体力

アートのお値段のかすとり体力のレビュー・感想・評価

アートのお値段(2018年製作の映画)
3.7
世界最大のアートオークション、ニューヨークのサザビーズ開催に向けて慌ただしさを増すアーティスト、コレクター、ギャラリスト(画商)などアートを取り巻くステークホルダーの挙動を通じて、「アートの価値」そして「アート市場の裏側」を描き出すドキュメンタリー作品。

私、現在本業とは別にアート関係の新ビジネスを検討しており、まさに「アートの価値とは」という問いと日々向き合っている状況につき、テーマとしては本丸。
非常に楽しみに鑑賞した。

一点のアート作品、これの制作にかかった費用の累積が価格に反映されるとすると、材料費に労務費込でも数十万円から数百万円のところ、現代アート作品は一点で数十億の値段がついたりする。

この価格差、これこそが「アートの価値」であり、これは何に由来するものなのか、それは意図的に再現できるものなのか、というのが私の問い。

鑑賞した結果、「アートの価値なんてそんな単純なもんじゃあねぇ。アーティスト、コレクター、ひいては高額所得者などなど、膨大な数のプレーヤーの意思が複雑に絡み合う中で結果的にアウトプットされるもの、それがアートの価値だ」ということが分かり、まぁ、「やっぱ難しい問題だよね」ということを再認識した。無知の知。

ただ、かなり丁寧に各プレイヤーに密着しているので、その複雑さを構成する「要素」みたいなものは見えて来た気がする。

ここら辺を「アートの価値向上に向けたエコシステム」的に可視化するっていうのをやってみたいなーと思ったところ。

ということでなんだかんだ学びになったし、あと、美術館に行きたくなりました。
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