美知はまだ3歳。今日から働き始める母親は、子育てに協力的じゃない夫に苛立ちながら、美知の手を引いて家を出た。会社の保育所に美知をあずけるためだ。初日から遅れるわけにはいかない。急ぎ足で駅まで向かうと、電車から吐き出される通勤の人々は、小さい美知の目には大きく、恐ろしく、足がすくんでしまう。電車に乗ることが出来ずにいると、優しく声をかけてくれた年配の男性が、折り紙の亀を彼女にくれた。 「この亀さんみたいに首をすぼめて自分を守ればいいんだよ」 。美知は、首をすぼめ、母親と電車に乗り込んでいく。不寛容な通勤電車の中で、人の優しさに触れ、成長していく少女の記録。
抱きしめられたい。子どもだって。おとなだって。 まじめだが優柔不断で、問題に真っ正面から向き合えず肝心なところで一歩を踏み出すことができない新米の小学校教師・岡野。近所のママ友たちとの表面…
>>続きを読む⺟親を亡くした悲しみを乗り越えられないアヴァロン。4歳の⼦供の⼦守をするうちに、意外にも悲しみが少しずつ癒やされていく。
「時間って命と同じだから、もたもたしてたら時間切れになっちゃうよ」。 恋人の死を乗り越えられずにいた明海は、一冊の古本がきっかけで出会ったあかねから、そう教えられる。いつも前向きで笑顔の…
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