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映画ドラえもん のび太の月面探査記のKHのレビュー・感想・評価

4.5
八鍬新之介監督×辻村深月(脚本)が制作した映画ドラえもん。公開当時、映画館に3回観に行った思い出。
ミステリー作家としての作家性(多層的なミステリー構造)を入れつつ、藤子・F・不二雄的世界観のSFを踏襲しながら、勧善懲悪のファンタジーを描いた「映画ドラえもん」の中でも傑作の1つ。
映画ドラえもんを観る上で、これらは子供のための作品(子供向けという訳でない)であって、大人は楽しませてもらっているという感覚を忘れたらダメだと思う。子供にとって、勧善懲悪の希望的ファンタジーは大切だから。
といっても今作は大人でもしっかり楽しませてもらえる作品だと思う。
この映画の好きなところはまず、ドラえもんと言いながらもSFである以上、ある程度真実性のある検証された理屈が基になっていること。これは藤子・F・不二雄時代から守られてきていると思う。
そして、現在の当たり前の定説も初めは異説だったということ。ここでの異説は想像力であって、それがこの映画のキーポイントになる。のび太とドラえもんの名セリフが素敵だった。この物語も出来杉君じゃなくてのび太だからこそ始まったという事を示唆するシーンも良かった。
また、藤子・F・不二雄が亡くなった後の「映画ドラえもん」は、その時々のクリエイターによって紡がれており、時代によって何に影響されているのかが伺えるのもいいと思う。
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