SORA

ロリータのSORAのネタバレレビュー・内容・結末

ロリータ(1997年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

胸糞が悪くて、救いがない。
主人公ハンバートのロリータへの思いは、愛じゃなく身勝手な欲望である。


ロリータ演じるドミニク・スウェインの演技が素晴らしい。初登場シーンの、無垢なのに妖艶さを兼ね備えたあの姿。思わず感嘆の声が漏れた。思春期の脆さと、年齢を超えた艶やかな仕草、表情。ハンバートの心酔仕切った表情もあいまって、画面越しの私の心も揺れ動く。

ロリータの心情を考察してしまうと、苦しくて見続けることを心が拒む。しかし、ハンバートが語り部で進むこの映画ではそこにはあまり触れられない。むしろ都合よく彼女が成熟し切った小悪魔のような描かれ方をする。
冷静に考えれば、ハンバートこそ悪なのだが、恋に妄信した彼のフィルターを通したとき、私達はクレア・キルティこそが完全悪、ロリータにさえもやもやとした気持ちを抱えてしまう。
私はこの映画を通して、あらゆる物事を美へ昇華してしまう芸術の恐ろしさを感じた。
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