キューブリック版と比較すると話の流れは一緒だが、当時は規制で厳しかった激しめの描写が増えてより濃密になった印象。キューブリック版は若干コメディ寄りだったことを考えれば、こちらは文芸的なので差別化はできている。ハンバート役のジェレミー・アイアンズはカッコ良すぎて、いまいちハマってない。ロリータ役は小悪魔的な意味ではキューブリック版の方が良かった。今作はキルティの扱いが軽く、ラスト以外は蚊帳の外なので、ハンバートのキルティに対する憎悪の演出はいまいちだと感じたが、キルティが真性のド変態なので成敗された点ではスッキリした。登場人物誰もが幸せにならない映画なので鑑賞後の余韻はあまり良くない。
