みかんぼうや

薬の神じゃない!のみかんぼうやのレビュー・感想・評価

薬の神じゃない!(2018年製作の映画)
3.9
中国国内では1瓶80万円以上する白血病の治療に効く飲み薬と効能が同じ薬を、インドから密輸し違法販売した男の実話をもとにした話。

「ダラス・バイヤーズ・クラブ」にどこか似たような設定で(あちらも実話)、エンタメ性が強くコメディ的演出もあって、前半は“テンポは良いが軽くて薄めなダラス・バイヤーズ・クラブ”くらいの印象が強く、フィルマの超高評価ほどの面白さは感じなかったのです。

が、中盤以降は、一気にヒューマンドラマに舵を切り、法と人道の狭間に立つ義賊的美談へ。この美談がフィクションだったら、いかにも小綺麗にまとまった感動物になるところですが、実話となると、やはり説得力と力強さが違います。

主人公が、法的にも金銭的にも大きなリスクを背負いながら使命感で突き進む姿からのあのラストと、実際に中国社会へ与えた影響には感動せずにはいられませんでした。

後半は、「正しさってなんだろう?」「自分は見返りを求めず人のためにリスクを背負って行動できるか?」(もちろん法を破ること自体は大きな問題という認識はありますが)と思わず自問自動し続けてしまうメッセージ性もしっかり含まれています。

エンタメ×ヒューマンドラマとしてバランスが良く、実話として強いメッセージ性も含む、非常に面白い作品でした。
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