たた

ハッピー・デス・デイ 2Uのたたのレビュー・感想・評価

ハッピー・デス・デイ 2U(2019年製作の映画)
4.7
※注意
エンドロールの途中でエピローグが挿入されるので見逃さないように。

続編ものでは滅多に得られない満足度100!
ホラーとミステリーとサスペンスとコメディと青春ラブストーリーとファンタジーなヒューマンドラマだった前作に、まさかのSF要素がプラス!

恋はデジャブとかバック・トゥ・ザ・フューチャーとかインセプションとか、実在の映画について登場人物に語らせるのは、
リスペクトやオマージュの表明と同時に、最初から分かっててやってんだからパクリだとかツッコまないでね!というかわいい予防線に思えて微笑ましくなります。

前回、超チョイ役だけど、同じ日を繰り返すという物語の構成上成り行きで?印象に残ることになったライアン君が、今回まさかのキーパーソン。

最初は、ライアン君を主役に据えて、同じプロットの別バージョンストーリーになるのかな、と思ったんです。
良く言えば王道とか定番、悪く言えば二番煎じ。それでも多分そこそこ面白くなったと思います。

ところが主人公は変わらず、そこから多世界の仕組みに切り込むSF映画に持ってくとは、いろんな意味でびっくり(´゚д゚`)

まあSF要素は理屈付けのためなんだとしても。

過去をやり直せるとしたら?という問は、それが実現する可能性が事実上ないわけなので、思考実験の域を出ません。
でもだからこそ色んな物語が生まれるし、倫理の葛藤が人間性を浮き彫りにしたりもします。

大好きだった、死んだはずのお母さんが、今も生きている世界線。でもお母さんが見ているのは、自分であって自分じゃない。
「その」世界の過去を生きて来た自分であって、「この」自分じゃない。
選択を迫られた主人公の決断は?

過去の不幸を帳消しにしたことで、幸せになる人はいる。新たに生まれる不幸もある。

災害で失われた命もあるし、逆に、生まれた絆や命もある。過去に戻れたら災害を止める?

他の世界線にいるはずの「元の世界の大切な人」を、「この」自分(クオリア)は認識できないわけだけど、この映画のように出会えてしまったら。

タイムスリップものはいろんなことを考えさせてくれます。この映画は特に、エンタメコメディ作品でありながら、不思議なくらい真面目に考えさせられました。

脇役を雑に扱わない。見捨てない。前作の悪役に今作のラストで思いを馳せる。その世界では幸せになってほしいと。元の世界ではゴメンと。とても良かった。
たた

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