shiho

蜜蜂と遠雷のshihoのレビュー・感想・評価

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)
3.6
どうでもいいけどこの映画のタイトル、
「蜂蜜と雷鳴」ってうろ覚えしてた(笑)

世界的に有名な日本のピアノコンクールに実力者達が集まった!!っていう話。

本物のピアニスト達による演奏はとても美しく何度も鳥肌が立ったけど、松岡茉優演じるかつての天才少女であった主人公をもっとメインに据えて物語作ってほしかった。なんかこの子元々が不思議ちゃんっぽいし人物像が分かりづらかった。
ピアノを教えてくれた母親を亡くした事でコンクールをドタキャンした過去がある、という事しか分からないのでもっと彼女の現況(今どこに住んでいる?一人暮らし?他の家族は?20歳超えた今何してるの?ピアノは独学?先生はつけてるの?)を教えてくれないと感情移入が出来ない。原作では音大の先生に声かけられてどーのって設定がちゃんとあるらしいので…。
ただひたすら幼少期のコンクールボイコットのトラウマの繰り返しだ。
これは他の人物にも言える。さらっとでももうちょっと来歴をよ…?
こうこうこうで役者は揃った!
いざ勝負!!ってのを観たかった。
お外で月の光メドレーもなんか微妙だったし、浜辺での交流も何故そのメンバーで行ったのか説明不足。
極端な話松坂桃李の役どころにそこまで尺使わなくてもいいとさえ思った。
まぁ天才を際立たせるには解説上手な凡人が必要ですからな…。

また、全体的に役者に演技をさせ過ぎだと思う。松岡茉優や松坂桃李はどちらも演技力を評価されている俳優だが、それにしたって顔に出させ過ぎである。無言のまま表情が変化しますよ〜という演出がどれもくどい。
ところで今回の松岡ちゃん、いつもの輝きがなかったけど敢えて痩せたのかな??なんかやつれてたし表情の切り替えも不気味だった。
あと森崎ウィンは悪いけど力不足。ずっと森崎ウィンだったし主人公と話すシーンとかなんかぎこちなくて見てて恥ずかしかった。
一番自然だったのは塵役の鈴鹿央士くんですな。彼は本当にそういう子に見えた。また何かに出てたらチェックしたい。
ブルゾンちえみは途中まで全然わかんなくていい脇役のおばさんだと思ってたら途中のシーンでいきなり喋り方にブルゾン出ちゃってて笑った。ぶち壊しだよ!!(笑)
あと曲者指揮者役の小野寺昌幸な。リハーサルであんないじめみたいな塩対応して上手く出来たら途端にニッコリすんな…。せめて「ふん、出来るじゃねぇか」って顔くらいにしておいて。私の好みかな?なんかご都合展開ていうかえ〜?って思った。

というわけで期待よりも全体の纏まりや演出に欠け、ピアノ演奏シーンは迫力あるし素敵なのに観終わったあとぽこぽこと湧き出るように不満が増えてくる作品でした。

よかったところ
・第二戦の即興がエモい。
・斉藤由貴が美しい。
・最終戦の松岡茉優のドレスが素敵だった!
(それ以外はのだめ味があって面白くなかった)
・塵くん役の子の演技

なんかもっと各々苦しみを経て血の滲むような努力をしての本番!!みたいなのが観たかったんじゃ。映画じゃ難しいか…。
shiho

shiho