April01

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密のApril01のレビュー・感想・評価

3.6
褒めながら、いかにさりげなくポリコレをディスるかというのが恒例苦行と化してきて、その点はもう無視しようかという悟りの境地に到達しつつある。

ミステリーとしてすごく面白いわけではないけれど普通に面白い。文字としてのミステリー小説大好き人間からしても、よくある遺産争いが絡む犯人は誰だ?系の推理しがいのある作品となっている。
他界されたクリストファー・プラマーさん(ご冥福をお祈りします)をはじめ実力ある俳優陣が癖のあるキャラクターをそれぞれ演じていて物語に深みを増している。
探偵役ダニエル・クレイグは、今回のチャレンジで調子を掴みかけたと思うので、次作でこの役がもっとしっくりハマってより大胆に踏み込んで演じてくれると期待している。

苦手な部分は、善と悪、リベラルと保守を対比しすぎな点。
マイノリティの移民は善で、富豪の財産を継ぐ権利ある文字通りの保守プラス白人は悪。グローバリズムゆえに地域問題は国際問題に違いない。ただしエンタメ作品にやみくもに変な色を塗られて、そこに乗っかって素晴らしい!と褒め称える気もないので。
違いを認めて受け入れることが大事なのであって、善悪のレッテル貼りとかむしろ権力なんだけど。何が何でも善悪二元論にしたがる最近の風潮が逆に怖くて仕方ない。
April01

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