八木

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密の八木のレビュー・感想・評価

4.3
 おもしろ映画でした。
 事件に仕掛けが存在して、探偵がそれを解き明かしていく映画となれば、最後は「なるほどね」というある程度の納得が存在しさえすれば、あんまりギャースカ文句言えないものでして、この映画も実際そういう毛色があります。
 しかし、事件の真相は、少なくとも自分が見た映画やドラマでは見たことのない箇所とタイミングでしっかりと語られるのが、この映画の最大の特徴です。ここに、製作の意思を感じて好感度がかなりあがりました。というか、僕にとっては、この部分がこの映画の評価のすべてに近いです。
 この映画は、週1コナン的な、点と点を一本につないでいくラスト間近の真相究明パートに盛り上がりがある推理映画で間違いありません。よって、どこがどのように、ということを面白さの要素として語るわけにはいきません。その分をごっそり取り除いたとしても、「探偵が真相を究明する映画」というジャンルを新しい切り口で見せようとするクリエイター精神がとても楽しかったのでした。もちろんその見せ方が、話の緊張感をそいだりするようなことはなく、進むたびにやってくる事件そのものではなく、新たな展開への期待感をつくることに成功しておりました。

 最後のほうには、2重3重になったら足掻きのような展開がとても楽しいのですが、その振り部分としての、看護師役のアナ・デ・アルマスの「何も知らないイノセント感」が映画全体ですごく生きてるんですよね。それ以外の犯人候補が全員いい顔してるのも楽しかったです。
八木

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