モードの流れを変え、そして展示なども含め後進に多大な影響を与え、ファッションにおける革新的な足跡を残したマルタン・マルジェラ。その設立経緯や内実、そして突然の会社売却とマルジェラの引退の真相へとつながる、ドキュメンタリーとしての王道的構成がジェニー・メイレンス（音声のみ）と当時の関係者へのインタビュー・実際のショーやコレクションの映像で回顧される。
映画としてはモードの流れを知っていることが必要になるが、全盛をリアルタイムでみていたわけではない自分のような者にとって映像付きというのはありがたかった。
ファッション業界のみならず、当人たちの情熱だけで突き動かされるクリエイティブ集団とあまりに強大な資本は非常に食い合わせが悪く、マルジェラもつまるところそのような経緯を辿っていたことが当時を語る楽しそうな口ぶりが悲しい。なるほど、マルジェラは戻ってこないわけだ。
ブランドの経営としてはジェニー・メイレンスの手腕が大きかったのだとわかる。
タイトルの通り、we という複数形の言葉にもたびたび触れられるが、持つ意味についても色々と思うところがあった。
