FumiyaIwashina

僕たちは希望という名の列車に乗ったのFumiyaIwashinaのレビュー・感想・評価

3.4
ソ連占領下の東ドイツで、進学コースに通う高校生たち。彼らはハンガリーでの民衆蜂起に対して黙祷を行うため、授業開始直後、教師からの問いかけに一切答えなかった。これが次第に大事になり、大人たちは首謀者を明かさなければ、全員卒業させないと、生徒たちに揺さぶりをかける。
当時の社会主義体制の圧力が垣間見える作品ではあるが、作品全体が黙祷事件に対して首謀者を探しだそうとする学校や政府側と何とか口を割らずに耐えようとする生徒たちとの間で、ゲーム理論の囚人のジレンマのようなストーリーだった。
あれだけ、様々な手で揺さぶりながら、体罰はなかったのが印象的で、このあたりも忠実に作ったのかもしれない。サッカーファンとしては、プスカシュ賞で有名なプスカシュが登場したのには驚いたが、結局彼が死んでなかったのであれば、アメリカ側の放送に問題があって生徒たちは踊らされただけなのか、それとも西ベルリンへの脱出は必然のことだったのか、当時の知識がないと、よくわからなかった。
生徒たちのことを考えて、寂しさや不安をこらえて送り出す親たちは素晴らしかった。