あかり

僕たちは希望という名の列車に乗ったのあかりのレビュー・感想・評価

4.5
ベルリンの壁建設前夜、東西分裂のムード漂う中、東ドイツの高校生たちが捧げた2分の黙祷が「反逆」と見なされ、首謀者を密告してエリート街道を進むか、意志を貫き労働者階級として生きるかの2択を突きつけられる、実話をもとにしたお話。

不穏な空気がながれる中、西側にこっそり映画を見に行ったり、禁止されている西のラジオニュースをクラスメイトと聞きに行ったり、結束して授業中に黙祷したり、そんな彼等なりの青春に、政府の弾圧の魔の手が迫ってくるところがじわじわと恐ろしい。

はじめは団結していたクラスが、お互いに不信感を抱いたり、不安を持って気持ちがばらばらになってしまうところがリアル。

それでもやはりほぼクラスの全員が仲間を裏切る事なく、信念を貫いた勇気がすごい。

エリックは嫌なやつっぽい感じででてくるけど、彼には彼の地獄があるんだろうな。泣き叫ぶシーンは痛切だった…。

「希望の列車」に乗っていく彼等を、もう会えなくなると分かっていながら、見送った家族たちの、覚悟と悲しみが伝わってきて、苦しくなった。

20世紀、これだけ戦争や分断で人々の暮らしが破壊されてきたのに、21世紀もひとは争いを繰り返すのか、自由で平和な世の中になりますように。
あかり

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